2005年以降、パネライは自社製ムーブメントを次々と発表している。時計の外観を一見しただけではモデルによる違いが判断しにくいが、ムーブメントを知ると、それぞれの性能の違いが分かる。堅牢性が高く、独自機能も備えた、パネライのムーブメントの種類や搭載モデルを紹介しよう。
パネライと自社ムーブメント
パネライの腕時計には、ミッションウォッチの伝統が息づく堅牢性と精悍な雰囲気がある。デザインコードや設計思想を一貫して守り続ける、パネライの歴史やムーブメントの概要を見ていこう。
イタリアで1860年創業
パネライの歴史は1860年、ジョヴァンニ・パネライがフィレンツェに構えた時計店に始まる。これは時計工房とフィレンツェ初の時計学校を兼ねていた。
1916年には自発光する夜光塗料「ラジオミール」を開発し、1936年にはイタリア海軍の第1潜水隊特殊部隊工作員のために、ラジオミールを用いた試作品を製作する。
以降、イタリア海軍御用達の時計メーカーとしてミッションウォッチを多数製作。長らく軍需専門であったパネライが民間向けコレクションを発表したのは1993年のことである。
《 1936年に製作された「ラジオミール」のプロトタイプ。インデックスと針には自発光塗料のラジオミールが塗布されている。 》
設計理念は屈強で高精度
2002年、パネライはスイス・ヌーシャテルに自社工房を完成させ、2005年には初となる完全自社製ムーブメントを発表する。この手巻きムーブメント「P.2002」はGMT機能を搭載し、約8日間ものパワーリザーブを達成した。
以降、矢継ぎ早に自社製ムーブメントを発表していくが、いずれもミッションウォッチの伝統が息づく、屈強かつ高精度な仕上がりである。
《 8日間のパワーリザーブとGMT機能を備えたパネライ初の自社製手巻きムーブメントP.2002。このナンバーは、同社がマニュファクチュールを完成させた年にちなんで付けられた。 》
主な手巻きムーブメントの種類と搭載モデル
パネライの手巻きムーブメントは、開発開始年の2002年に由来する名のP.2002をはじめ、多くの派生キャリバーがラインナップされる。代表的なパネライの手巻きムーブメント3種とその搭載モデルを見ていこう。
伝統的機能を搭載 キャリバー P.2002/E
「P.2002/E」には、GMT機能やトリプルバレルによる約8日間のパワーリザーブに加え、3時位置の日付・月表示や9時位置のAM/PM表示が備わる。
ベースキャリバーのP.2002と共通項は多いが、大きな違いは水平運針する均時差表示だ。ルミノール コレクションの「イクエーション オブ タイム PAM00670」に搭載される。
《 ルミノール イクエーション オブ タイム PAM00670 手巻き(Cal. P.2002/E)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ8日間。Ti(直径47mm)。10気圧防水。239万円(税別)。 》
パワーリザーブ約3日間 キャリバーP.3000
直径37mm弱の「P.3000」は、ツインバレルによる約3日間のパワーリザーブを備えた、ビッグサイズかつ堅牢な手巻きムーブメントである。
主な搭載モデルは「ラジオミール 1940 3デイズ オロロッソPAM00515」や「ラジオミールS.S.C.3デイズ PAM00425」など。いずれもシンプルなダイアルだが、ケース径47mmというパネライらしいマッシブなサイズ感である。
《 ラジオミール 1940 3デイズ オロロッソ PAM00515 手巻き(Cal.P.3000)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ3日間。ゴールドテック™️(直径47mm)。5気圧防水。238万円(税別)。 》
安全性と安定性を最大限確保 キャリバーP.1000
2015年発表の「P.1000」は、約3日間のパワーリザーブやゼロリセットセコンド機構を備えた、厚さ3.85mmの薄型手巻きムーブメントである。
テンプの両持ちブリッジはねじ込み式リングにより微細な調整を可能とし、安全性と安定性を高めている。
主な搭載モデルは「ルミノール ドゥエ 3デイズ チタニオ PAM00728」や、「ラジオミール1940 PAM00574」などだ。いずれもケース径は42mmである。
《 ルミノール ドゥエ 3デイズ チタニオ PAM00728 手巻き(Cal. P.1000)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ3日間。Ti(直径42mm)。3気圧防水。95万円(税別)。 》
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