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クロノグラフの常識に挑んだリシャール・ミルならではの大作「RM 72-01 オートマティック フライバッククロノグラフ」

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  • クロノグラフの常識に挑んだリシャール・ミルならではの大作「RM 72-01 オートマティック フライバッククロノグラフ」


    リシャール・ミル初の自社製クロノグラフとしてリリースされたRM 72-01。薄さを狙った自動巻きクロノグラフに見えるが、重要なのはそれ以外にある。本作でリシャール・ミルが実現したのは、かつてない視認性だった。それをもたらしたのがダブルスイングピニオンという独自メカニズムである。あえて水平クラッチのスイングピニオンをふたつ使うという奇策。その設計から浮かび上がってくるのは、決して常識にとらわれないリシャール・ミルの在り方である。

    奥山栄一:写真 Photographs by Eiichi Okuyama 広田雅将(本誌):文 Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)
    かつてないダブルスイングピニオンが際立った視認性をもたらす

    2001年の創業以来、〝エクストリーム〞を追求してきたリシャール・ミル。世界最軽量のトゥールビヨン、まったく新しい異素材、耐衝撃性の追求、ムーブメントへのペイントなどなど。一見分かりにくいこういった試みも、〝エクストリーム〞というキーワードでひもとくと、見事なまでの一貫性を持っていることが理解できる。
     2020年に発表されたRM72-01は、オーソドックスな構成を持つ自動巻きクロノグラフだ。「ナダル」のように最軽量でも、「パブロ」のように際立った耐衝撃性を持っているわけでもない。しかし、このモデルは、既存のモデルに同じぐらい、実はエクストリームなモデルなのである。
     リシャール・ミルはクロノグラフに3つ目のトリコンパックスレイアウトを与えてきた。RM 011の一般的なクロノグラフのインダイアルの構成要素は、スモールセコンド、12時間と60分積算計、そして60分カウントダウンタイマー。対してRM72-01は、文字盤の2時位置に60分積算計、5時位置に24時間積算計、9時位置にスモールセコンドを備えている。3つのインダイアルは文字盤ギリギリまで拡大されただけでなく、クロノグラフの計測時間を示すふたつのインダイアルは、文字盤の右側に寄せられた。袖をめくるだけでクロノグラフの計測時間を知ることができるため、RM72-01は極めて優れた視認性を持つ。
    1930年代に基本的な設計が固まって以降、機械式クロノグラフのレイアウトは大きく変わっていない。クロノグラフ機構を動かすレバー類の取り回しが似通ってくるためだ。対してリシャール・ミルは、〝エクストリームな視認性〞をもたらすべく、クロノグラフを動かすクラッチそのものの見直しを図った。
     近年のクロノグラフは、ムーブメントに対して垂直方向にスペースを取るものの、水平方向には省スペースな垂直クラッチを好む。他方、RM72-01は、古典的な水平クラッチの、しかもスイングピニオンを選んだ。これはETA7750などが採用する、かつては「安価」と見なされたメカニズムだ。しかしクラッチを軽くできるため、フライバックには最適だ。近年のIWCはスイングピニオンに着目することで、優れたフライバッククロノグラフを完成させたが、その在り方をさらに深化させたのが、このRM72-01と言えるだろう。
     普通のスイングピニオンは、1分間に1回転する4番車にカナを連結して、中心にある秒クロノグラフ車を回す。RM72-01では、香箱から補助歯車とスイングピニオンを介して、2時位置の60分積算計の歯車を駆動する。そもそもクラッチ部分の重さが軽いスイングピニオンは、フライバックを操作しても理論上、不具合を起こしにくい。加えてRM72-01は、ふたつのスイングピニオンによりクラッチを小さくし、分積算計を2時位置に配するだけのスペースを捻出した。
    設計者のサルヴァドール・アルボナは、ダブルスイングピニオンのメリットをもうひとつ挙げる。「一般的なクロノグラフは、秒クロノグラフ車が直接、分積算車を駆動するが、1分ごとにかなりのエネルギーが必要になる」。なるほど、ダブルスイングピニオンを使い、秒クロノグラフ車は4番車、分積算車は香箱から別々にトルクを得ているため、トルクロスは小さくなるだろう。リシャール・ミルが「パワーリザーブと等時性の両方で最高の性能を発揮するクロノグラフ」と説明したのも納得だ。
     通常、初の自社製クロノグラフの設計に当たって、多くのメーカーは安全策を取りたがる。しかし、リシャール・ミルは、定番の垂直クラッチやキャリングアーム式の水平クラッチではなく、あえてスイングピニオンを採用した。口さがない時計愛好家は「たかがスイングピニオン」と言うかもしれない。しかし、リシャール・ミルにとって重要なのは、世間の評価ではなく、〝エクストリームな視認性〞だったのである。これぞ、リシャール・ミル初の自社製クロノグラフに相応しいモデルではないか。

    リシャール・ミル/RM 72-01 オートマティック フライバッククロノグラフ リシャール・ミル初の自社製自動巻きクロノグラフ。極めて高い視認性と薄さ、堅牢さと理論上の高精度を兼ね備えたムーブメントを搭載する。フライバック機能を載せたにもかかわらず、プッシュボタンの感触は極めて良好だ。また、高級機らしく深い面取りが強調されている。 自動巻き(Cal.CRMC1)。39石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。18KRG(縦47.34×横38.40mm、厚さ1.68mm)。30m防水。2600万円。Tiモデル(2050万円)もある。 》
    Contact info: リシャールミルジャパン TEL:03-5511-1555



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